湯河原のおもいで
実家の母の78歳のお誕生日を、温泉で祝ってあげようと、湯河原に行ってきました。
千歳川に沿って駅の方に登っていく車の中で、母が「この辺りに疎開していたの」と、ぽつり。
戦争の時、湯河原の川沿いの温泉旅館に集団疎開していたとのこと。
温泉は入り放題だったけど、ノミやシラミがうようよして、気持ち悪かったこと。毎日毎日、夕方になると「おかあさーん、おかあさーん」と泣いていたこと。
家に帰りたくて帰りたくて、誰かが「あの山を越えれば帰れる」と言い出して、連れだって宿を抜け出し、大騒ぎになったこと。
出発したはいいものの、途中で道がわからなくなり、日も暮れて、一人が泣き出したらみんな一斉に泣いて…
母が疎開したときのつらかった思い出話は、子供のころから何度も聞かされていたけれど、それが湯河原だったとは!
思い出を語る母の記憶は鮮明で、聞いてるこちらもつい涙が出てしまうほどだけど…
ちょっと待って。
「ママ、それっていくつの時?」と問うと「8歳の時よ。」
え~、70年前だよ!と、大笑い。
人はどうして、悲しい思い出をこんなにしっかり忘れずに、覚えていてしまうんだろう。
年を取って、物忘れがひどくなるとしたら、悲しい思い出から順番に忘れていけるといいのにねえ。
写真は帰りに立ち寄った「堀田高 洋画館」から臨む、真鶴の海。
オープンしてまだ1年経たないこの洋画館、ちょっと人に教えたくないくらい素敵なところでした。
でもオーナーのご夫妻が「宣伝してください」とおっしゃるので…
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