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2012年4月25日 (水)

壁はいらない

少し前の話になりますが、書いておきたいこと。


はじめてフランスバロックに挑戦する生徒さんと、これから使用する楽譜について相談しました。

フランスのバロック音楽は装飾法に決まりごとが多く、型を学ぶために私はオトテールの曲を使います。

ラモーやクープランなど、チェンバロの譜面には装飾記号と演奏例を書いている作曲家が何人もいるのですが、管楽器でそれをしている人はオトテール以外に知らないので…

オトテールは当時の横笛、フラウト・トラヴェルソを基準に楽譜を書いていて、リコーダーでやる場合には移調読みをするように指示しています。

作曲家自身が生きていた時代に出版された譜面のファクシミリ版は、簡単に言うと、書いてある音の5度上を読んで、しかも頭の中で調号をつけなおして演奏するので…ちょっと大変そうでしょう?

現代譜に直して出版されているものは、すでに移調がされているので、楽です。

でも慣れてしまえば何ということはないし、いちいち現代譜を探さなくていいのでやれる曲の範囲が広がるし、何より現代譜に直されているものより間違いが少ない。

どちらを使っていきましょうか?という相談です。


Bird12

その生徒さんはしばらく考えた後、
「とりあえず、やってみます」と言って、帰って行きました。

次のレッスンの時、持ってみえたのはファクシミリ版の楽譜でした。

すごいですね、さすがですね、と言うと、こんな話をしてくれました。

読み換えに疲れた時、「楽譜の読み方」をググってみたら、すごくたくさんの種類が出てきた。
(へ音記号の他にハ音記号、しかもそれがソプラノ記号だったりアルト記号だったりテノール記号だったり)

へ音記号とト音記号しか知らなかった自分はとても驚いた。

そして、大変だと思っていたフレンチヴァイオリン記号の短3度上げ―つまり5度上げの読み方は、そのたくさんある中のひとつでしかないと気づいた。

これを壁だと思っていたら、世の中壁だらけになる…

「それで、これを壁と思うのはやめました。乗り越えようとか思わないで、ただ慣れていけばいいんだと思って」


う~ん…いい言葉ですねえ。

壁だと思ったら、乗り越えるか、あきらめるか、しなきゃいけなくなる。どちらもつらい闘いです。

壁と思わず、その存在を丸ごと受け入れて、なじんでいく…

とても大切なことを改めて教わった気分です。


・・・・・


壁は自分で作るもの。

そんなものはいらないのです。

Bird13


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コメント

山口さま

コメントありがとうございます。

辛抱強いのは山口さんのほうですよ~
本当にいつも気負わず、前向きで、柔軟な考え方に驚かされています。

わたし、何を隠そうG管読み(これも読み換えの一種です)ができないのですよ。

機会があるたびに挑戦もせず楽譜を書き替えていました。

壁を作ってたんですよね。反省…

これを機会にG管読みに挑戦 ! じゃなくて、ただ慣れていこうと思います。

いいことを教えてくださって、ありがとうございました♪

先生、記事にして頂き光栄です!
かなり照れますが、素直に嬉しいです〜♪


確かに壁というイメージは、きついですね。
むしろ坂道を登っていくイメージが好いかなって思います。
ゆっくりでも僅かでも進んだ分だけ向上していける感じがします。


リコーダーを先生にご指導頂いてから10年近くになるでしょうか。
とても不器用でおぼえが悪く素質も素養もない生徒にもかかわらず、
先生には辛抱強くご指導を続けて頂き本当に有り難く存じております。


こうしてあらためて振り返ってみると我ながら、
かなりなところまで登ってきたものだと感無量となります。


これからフランスものに挑戦ですが、やはり焦らず一歩ずつ登って行こうと思います。
不器用で才能の無い者でも一歩ずつ登り続けることならなんとかできますし
そうした日々はとても楽しく充実したものと感じます〜♪


今日もフレンチヴァイオリン記号の短3度上げでオトテールをたどたどしく練習しました〜♪


今後とも辛抱強いご指導、よろしくお願い申し上げます〜♪♪

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