「ふたりのルイエ」プログラムノート その3
ふたりのジャン・バティスタ・ルイエのリコーダーソナタはどれもイタリア様式で書かれています。絶対主義国家であり、文化にも独自の様式感を持っていたフランスの音楽に対し、小国の集まりであったイタリアの音楽はもっと自由で、楽譜の購入者である富裕層の音楽愛好家にとても受けていたことが、その理由だと思われます。
昔、自分が音大の学生だった頃、フランスの装飾のやり方、というのを習い、その後イタリアの装飾をやりました。
フランスの装飾はその種類によって形が決まっているので、わかりやすく、イタリアの装飾は「自由にやって」といわれるとどうしていいのか分からず、とても難しく感じました。
なので、自分の中では「フランスの装飾は簡単で、イタリアのは難しい」という図式が出来上がっていました。
ところが、実際にアマチュアの愛好家の方のレッスンをするようになると、実はそうではない、と思うようになりました。
フランスの装飾は形がはっきりしているので、拍の頭ををきちんと押さえたり、指定された形で指を回したりすることができないとダメなのです。アマチュアの愛好家の方にはこれは難しいことです。
生徒さんに、「イタリアのバロックの装飾は基本的にコードに合ってればいいので、自分の得意なことをすればいいのですよ。」と言うと、色々なことをしてきてくれます。そして、少しでも自分でいじったメロディーが入ると、とたんに曲が生き生きします。メロディーが自分のものになるのです。
きっとルイエの時代も同じだったのではないでしょうか。
音楽家の地位は低く、富裕層の娯楽のために曲を提供していたのなら、フランスのやり方はこうなんですよ、と上から目線で押しつけることはできなかったはず。
そう思うとフランスのパリで音楽を学んだ後、ロンドンに渡った「ロンドンのルイエ」も、早くからリヨンに移り一生の大半をフランスで過ごしたゲントのルイエも、なぜリコーダーソナタをイタリア様式で書いたのか、納得できます。
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